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GLP-ダイエット副作用について。原因と安全性リスクを医師が解説

アメリカではGLP-1製剤は抗肥満薬として承認されており、ダイエットの効果を示す実験がいくつもあります。
しかし、現状日本ではダイエットでGLP-1を使用することに関して賛否が分かれます。
事実、日本医師会はGLP-1を痩身美容目的のGLP-1使用を批判し、副作用のリスクついても警告をしています。
本記事では「GLP-1ダイエットにはどのような危険があるのか?」「副作用の種類や原因」そして「GLP-1を安全に使うにはどうしたらいいか?」という点について解説していきます。
GLP-1ダイエットの主な副作用は胃腸障害

GLP-1での主な副作用の一覧です。
- 吐き気
- 胃のむかつき(悪心)
- 腹痛
- 便秘
- 食欲低下
- 消化不良
最もよく見られるのが吐き気や胃のむかつき。主に消化器系の副作用が多いです。
使うGLP-1薬剤の種類にもよりますが、大体1%~5%程度の人に見られます。
副作用が出る場合はGLP-1投与1週目、もしくは薬剤の投与量を増やしたタイミングで上記の症状が出ることが多いです。
軽い副作用なら基本的に数日~数週間で治まっていきますが、あまり無理せず医師に相談しましょう。
もちろん副作用を全く感じない人も多いので安心してください。
GLP-1の副作用の原因は薬剤の効きすぎによるもの?

そもそもGLP-1ダイエットとは「胃の蠕動(ぜんどう)運動をゆっくりにすることで満腹感が長持ちするので、食事量が自然と減り、痩せるダイエット」です。
しかし胃の蠕動運動がゆっくりになるという変化に身体が異変を感じるようになると、吐き気や腹痛を感じやすくなるのです。
つまりGLP-1は胃や腸に働きかける製剤なので、副作用が胃や腸で起きやすくなる、ということです。
胃腸障害は、薬剤の効果が出ているという証拠そのものです。
便秘もGLP-1ダイエットで食事量が減り、その結果便の量も減ったから、というケースが数多くあります。
時間が経っても体調不良が改善しない場合は薬剤量を減らすことで症状が緩和する場合があるので、担当医に相談しましょう。
低血糖・急性膵炎・腸閉塞などのリスクは?

まず「低血糖」についてですが、基本的にGLP-1製剤は血糖値が高いときにだけインスリンが分泌し、血糖値が低い時には効果が弱まるので、低血糖リスクはかなり低いです。
参考:国立国際医療研究センター
次に急性膵炎リスクですが、こちらも2型糖尿病患者153万人を対象にした実験で、インクレチン薬での急性膵炎リスクとの関連性は見られないという結果があり、急性膵炎のリスクも低いと言えます。
最後に腸閉塞リスクについてですが、GLP-1製剤による腸閉塞症例ですが、これは腹部手術又は過去に腸閉塞になったことがある患者で認められているものなので、過度な心配はしなくても問題ないかと思われます。
もちろん100%安全を保障するものではありませんが、 きちんとした医師のカウンセリングがあれば避けられる可能性の高いリスクだと私は思います。
1型糖尿病患者へのGLP-1製剤投与による死亡事例

過去に1型糖尿病患者さんがインスリン治療からGLP-1製剤に切り替えた際に「糖尿病性ケトアシドーシス」を引き起こし亡くなったという症例があります。
参考:厚生労働省
以降、インスリン依存状態の患者(1型糖尿病患者)に対してのGLP-1製剤投与は禁忌とされています。
糖尿病でなくとも、極端なケトジェニックダイエット(糖質制限)をしている人はケトアシドーシスのリスクがあるので必ず申告するようにしてください。
GLP-1ダイエットは危険なのか?の答え

結論から言うと「健康な日本人」にGLP-1製剤を使用した場合の安全性を保証するエビデンスはありません。
あくまでGLP-1製剤にあるのは「健康障害リスクの高い肥満症患者」や「2型糖尿病患者」に対しては安全性と体重減少効果が期待できる、というエビデンスです。
しかし、だからと言ってGLP-1は危険だと決めつけるのは早計です。
実際に海外では肥満治療薬としての効果が大規模な試験によって証明されているわけですので、そこを無視してはいけません。
どんな医療行為にもリスクはつきものです。
怖ければ手を出さなければいいだけです。
大事なのは医師がきちんと経過観察を行い、万が一のリスクに対応できるか否かだと思います。
- GLP-1製剤は健康な人に対して使う場合の安全性を保証する試験結果がない
- そして今後も日本がGLP-1をダイエット薬として承認することはおそらくない
- しかしGLP-1にダイエット効果があるのは科学的に証明されている
- だからこそ医師による診察が最も大切