\どんなお悩みもお気軽にご相談ください/
GLP-1ダイエットは保険適用外?なるべく安く始めるには?気になる疑問を医師が解説

「GLP-1薬剤を使うダイエットは保険適用で受けられるの?」と気になる方も多いでしょう。
GLP-1薬剤とは、食欲を抑える効果や体重を減らす効果が期待できる注射もしくは経口薬。
無理なくダイエットしたい方にも選ばれているお薬ですが、保険適用で処方してもらうには、「2型糖尿病の診断を受けている」という条件があるんです。
この記事では、そんなGLP-1薬剤と保険について詳しく解説していきます。
GLP-1ダイエットは保険適用外!

GLP-1薬剤はアメリカやヨーロッパなどでは抗肥満薬として認可されています。
しかし、日本では抗肥満薬として承認を受けていないため、保険適用外です。
肥満の方がダイエット目的で処方してもらう場合は、全額自己負担となってしまいます。
2型糖尿病の方の治療・ダイエットのみ保険適用

GLP-1薬剤は、2型糖尿病の方が治療・ダイエット目的で使用する場合にのみ保険が適用されます。
そもそも糖尿病とは、血糖値が高い状態が慢性的に続く疾患のことをいいます。
- 1型糖尿病(インスリン依存型):インスリンの分泌細胞が破壊されるため、インスリンを自己注射する必要がある
- 2型糖尿病(インスリン非依存型):遺伝的要因、過食、運動不足などの生活習慣によって発症する
糖尿病にはこのように1型と2型があり、厚生労働省によると、その多くが2型糖尿病であると言われています。
GLP-1薬剤はこの2型糖尿病の治療薬として承認を受けており、血糖値のコントロールや食生活の改善、ダイエットを目指す方を中心に使用されています。
糖尿病の検査を受けるのもひとつの方法

「GLP-1ダイエットに興味があったけど、糖尿病じゃないから全額自己負担か…」と残念に感じた方もいるでしょう。
しかし、肥満に悩んでいたり、食欲をコントロールできなかったりするのであれば、糖尿病の検査を受けるのも1つの方法です。
厚生労働省が発表した『平成28年「国民健康・栄養調査」の結果』によると、糖尿病が強く疑われる人(糖尿病有病者)と糖尿病の可能性を否定できない人(糖尿病予備群)は、どちらも約1,000万人だと発表されました。
先述したとおり、2型糖尿病は遺伝的要因に過食や運動不足などの要因が重なることで引き起こされる病気ですので、自覚症状がないまま糖尿病を患っている可能性も否めません。
なお、糖尿病の診断手順としては、以下の通りです。
- 空腹時の血糖値が126mg/dl以上、随時血糖値が200mg/dl以上の結果が2回以上確認された場合
- 次のうち、いずれかの条件が1回でも満たされた場合
①糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)がある
②HbA1Cが6.5%以上の場合
③確実な糖尿病網膜症の存在がある
ものすごく期間がかかる検査だというわけではありませんし、内科、糖尿病内科などで検査してもらうことが可能です。
糖尿病の場合、初期のうちは自覚症状が出ないこともあるため、不安な方はお近くの病院・クリニックを受診してみてください。
また、GLP-1薬剤は1型糖尿病には使用できないため、1度検査を受けておいた方が安心してGLP-1ダイエットを始められると言えるでしょう。
2型糖尿病ではない方がGLP-1ダイエットを始めるには?

検査を受けた結果、「2型糖尿病ではない」という方がGLP-1ダイエットを始めるには、GLP-1薬剤を取り扱っている医療機関で処方してもらう方法が一般的です。
ダイエット目的の場合は自由診療(自己負担)であり、料金はクリニックによって違いますので、お近くの美容クリニックや美容皮膚科などに確認してみてください。
GLP-1を安く入手するために通販や個人輸入を使って大丈夫?

GLP-1薬剤は、決して安いものではありません。自己負担の場合はなおさらなので、「安く入手するために通販や個人輸入を使って大丈夫?」と考えた方もいるでしょう。
この疑問に対する答えは、「NO」です。そもそも「GLP-1 サプリ」などと検索して出てくるものの多くはEPAや食物繊維など、GLP-1の分泌を促すと言われる成分が配合されたもの。
GLP-1をサプリで直接摂取することはできませんし、そもそも医薬品ではないので、ダイエット効果が実証されているわけでもありません。
また、個人輸入は原則として医療従事者専用の方法です。輸入代行業者に頼むこともできるかもしれませんが、手数料や送料がかかってしまったり、トラブルに巻き込まれてしまったりするリスクがあります。
このようなリスクを考えれば、いくら保険適用外のGLP-1薬剤であっても、クリニックや病院で処方してもらうのが1番です。
そもそも日本国内で正規に流通している医薬品は、薬機法という法律に基づいて品質、有効性、安全性が確認されていますが、国外から個人輸入するものはその限りではありません。
実際、期待する効果が得られなかったり、人体に有害な物質が含まれていたりするリスクもありますので、クリニックや病院で処方してもらいましょう。
参考文献
- 厚生労働省『糖尿病』
- 厚生労働省 e-ヘルスネット『糖尿病』
- 厚生労働省『平成28年「国民健康・栄養調査」の結果』
- 厚生労働省『医薬品等を海外から購入しようとされる方へ』
- 第116回日本医学会シンポジウム『糖尿病をめぐる最近の話題[ II ] 糖尿病の診断と治療 update 1.新しい診断基準と分類』