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GLP-1薬剤「ビクトーザ」のダイエット効果や副作用について医師が解説

近年、痩せるホルモン「GLP-1」を使う医療ダイエットが大きな注目を集めています。
GLP-1薬剤にもさまざまな種類がありますが、今回は「ビクトーザ」についてまとめました。
ビクトーザのダイエット効果やサクセンダとの違い、使い方、副作用など、気になることを中心に解説するので、ぜひ参考にしてください。
ビクトーザとは

「ビクトーザ(リラグルチド)」は、GLP-1のひとつ。
日本国内でも2型糖尿病の治療薬として承認されていますが、体重減少効果が期待できるため、抗肥満薬としても注目されています。
主成分であるリラグルチドは、アメリカのFDAやEUなどで抗肥満薬としての承認を受けており、今後ますます注目される可能性があります。
ビクトーザとサクセンダの違い

ビクトーザと比較されやすいGLPー1製剤は、「サクセンダ」です。それぞれの違いを表にしたので、見比べていきましょう。
ビクトーザ | サクセンダ | |
適応する疾患 | 2型糖尿病 | 肥満症 |
処方量 | 0.3mgから始めて最大1.8mgまで増量 | 0.6mgから開始して最大3.0mgまで増量 |
日本国内での承認 | 2型糖尿病の治療薬として承認済み | 日本国内では未承認 |
大きな違いとしては、上の図の通りです。
細かいところで言うと、ビクトーザには0.3mg刻みの目盛りが採用されていますが、サクセンダには0.6mg刻みの目盛りがついています。
どちらも主成分がリラグルチドであり、「処方量が少ない=体重減少効果が期待できない」というわけではありません。
また、サクセンダは日本国内で未承認のため、取り扱っているかどうかはクリニックの方針によって異なります。
ちなみに当院では、安全性や効果など総合的な観点からサクセンダを採用しています。
ビクトーザのダイエット効果

ビクトーザは、1日1回の摂取を続けることでダイエット効果が期待できます。
これは、膵臓からのインスリン分泌を促進する作用によるものです。
インスリンが分泌されると血糖値(HbA1c)が低下。すると消化が穏やかになり、食欲を抑制する効果が期待できます。
食事の量が減るだけではなく、代謝も上がるため、体重を減少させる効能に期待できるというわけです。
以前、海外にて非糖尿病の肥満症患者3731人を対象にした実験がありました。
糖尿病ではない一般患者が、リラグルチドの投与を56週間続けるという内容です。
この実験の結果としては、「56週目に平均8.4±7.3kg(1.1~15.7kg)の体重減少が見られた」ということ。
一方、リラグルチドを投与していなかった人たちは、「平均2.8±6.5kgの体重減少があり、減少した人もいれば、3.7kg増量した人もいる」ということです。(※1)
このように、リラグルチドはダイエット効果が証明されている成分であり、それを含むビクトーザもダイエット効果が期待できると言えます。
効果が出るまでの期間・効果の持続時間

ビクトーザの効果が出るまでの期間は、おおよそ2週間(※2)です。
毎日継続することで効果を実感しやすくなるため、なるべく同じ時間に投与する必要があります。
効果が実感できる期間には個人差があるので、ビクトーザの用量については担当医師に相談してみてくださいね。
なお、効果の持続時間については、以下のような研究データが出ています。
- 1回だけ投与した場合の半減期:平均値10~11時間(※2)
- 1日1回14日間投与した場合の半減期:平均値14~15時間(※2)
- 反復的な投与の場合:3 回程度で一定の状態に達する(※3)
上記の理由から、毎日定期的に投与すれば効果が安定しやすいと言えます。
ひとつ前の項目で、「海外の実験では56週目に平均8.4±7.3kgの体重減少効果が見られた」とお話しました。
このことからも、ビクトーザを継続することが肥満改善への近道だと言えるでしょう。
ビクトーザの使い方と打つ時間

ビクトーザは、自分で皮下注射するお薬です。不安を感じる方が多いので、使い方と打つ時間についても解説します。
- 注射針の取りつけ:ペンのキャップを外す/針をゴム栓に刺す
- 空打ち:針先を上に向けて空打ち/気泡を抜く
- 投与量の設定:ダイヤルを回す/指示された用量に設定
- 注射:注入する部位の消毒/針を刺し、ボタンを押す、6秒数えて針を抜く
- 注射の処理:針にケースを付ける/注射針を外す/ペンにキャップを付ける
リベルサスを打つ時間に明確な決まりはありませんが、1日1回、朝または夕方に皮下注射してください。
できるだけ同じ時間に投与することが望ましいので、無理なく続けられる時間帯を選ぶといいですね。
ビクトーザの副作用は?痛い?しんどい?

ビクトーザの副作用としては、吐き気や嘔吐、気持ち悪さ、便秘、腹痛、など、胃腸の症状が現われるケースが多いです。
最初の4〜8週間以内に発生しやすいのですが、だんだん緩和されていくでしょう。
胃腸の副作用が現われやすい理由は、ビクトーザが胃や十二指腸に働きかける作用を持っているためです。
最初はお薬に慣れていないので、サクセンダが効き過ぎることで不調を感じてしまうのです。
ビクトーザによる死亡リスクについて
なお、ビクトーザによるダイエットを考えている方の中には、死亡するリスクを心配される方がいます。
これは、糖尿病の方がインスリン治療を中止し、ビクトーザに切り替えたことが原因だとわかっています。(※4)
そのため、健康な方がビクトーザで亡くなった例は報告されていません(2021年11月時点)。
とはいえ、ビクトーザの使用で急性膵炎や腸閉塞、低血糖症など、重大な副作用が起こる可能性は否めません。
体調に注意しながら投与して、「何かおかしい」と感じたら速やかに使用を中断しましょう。
そのあと、医師の診断を受け、指示に従ってください。
また、安全に使用するためにも説明書や添付文書をよく読むことが大切です。
自己判断で用法用量を調整したり、薬剤の管理を怠ったりしないよう注意してくださいね。
処方してもらうには?個人輸入や通販はできる?

ビクトーザは医薬品ですので、個人輸入や通販での入手はおすすめしません。
ダイエット目的での処方は全額自己負担ですが、そのぶん医師からの診断が受けられたり、すぐに相談できたりするメリットがあります。
ビクトーザを希望される方は、お近くのクリニックに取り扱いがあるかどうか確認してみてくださいね。
なお、当院でもビクトーザを用意しているので、使用を検討中の方はお気軽にご相談ください。
参考文献
- ※1 「体重管理における3.0mgのリラグルチドのランダム化比較試験」(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1411892)
- ※2 「ビクトーザ皮下注18mg 16.1.2 2型糖尿病患者における反復皮下投与後の薬物動態」(https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499410G1021_1_10/)
- ※3 「ヒト GLP-1 アナログ製剤リラグルチド(ビクトーザ® 皮下注)の薬理学的特徴および臨床試験成績」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/136/4/136_4_233/_pdf)
- ※4 「リラグルチド(遺伝子組換え) 安全性情報」(https://www.pmda.go.jp/files/000143373.pdf)
- 「ビクトーザ®皮下注の使用に当たっての緊急情報と注意喚起」(https://www.jshp.or.jp/cont/10/1005.pdf)